「万が一の時」も考えて車椅子が通れる「幅」を考えた家づくり計画!
将来は何が起こるか分かりません!万が一ですが、家族の誰かが車椅子での生活が必要になった時、マイホームの廊下が狭く車椅子が通れない・・・たなったらどうなるでしょうか?
・マイホームを1から車いす用にリフォームする
・新しく新築を建てる
・大きめの中古住宅を購入しリフォームする
と様々な考えが思いつくのではないでしょうか?しかし、その内容はどれも大掛かりで大きな費用が発生してしまいます・・・
このような自体を回避するためにも、車椅子が通れる廊下、入り口の「幅」を考えて新築の計画を立てておくと安心でしょう。
将来の万が一にも備えた家づくり計画をするには、車椅子の幅・寸法をきちんと把握し、それをプランに反映した設計をしてもらう必要があります。
車椅子が通れる幅は内輪差を考えて寸法を検討する必要があります
車椅子が通れる通路を検討する際、車椅子本体の幅だけでなく車椅子の前輪と後輪の「内輪差」を考えなければなりません!
内輪差とは?
車がまがるとき前輪が後輪より内側を通ることによる前輪と後輪の軌跡の差を言います。
トラックなどの事故で巻き込み事故が多い理由の1つとしてこの内輪差があります。この内輪差は車椅子でも起こることで、この内輪差を考えずに住宅を設計してしまうとうまく進めなかったり、曲がることができなかったりといった不便さ出てきます。
また、車椅子に乗る人を介助する方が並んで通る場合は、人1人分の幅も追加で設けなければなりません!
このように、車椅子生活をする場合、様々な状況や生活パターンを考えて通路などの寸法を決定していかなければなりません。
有効寸法を検討して家のバリアフリー設計を検討する
設計士より間取りが上がってきたら、廊下などの有効幅(実際に人が通れる、使える幅・内法寸法のこと)を確認し、メジャーなどで測ってイメージしましょう。
車椅子が通れる廊下の寸法は?
一般的な日本家屋の廊下の内法寸法:780mm
自走車椅子が余裕を持って通れる廊下の幅:900mm以上
一般的な廊下の内法寸法に比べて、自走車椅子が通る幅は10cm以上広く取らなければなりません。
これは、自走車椅子の幅が620〜630mm程度あり、それに内輪差や車椅子が乗る人が漕ぐ手のスペースも考慮した上の寸法です。
一般的な廊下ではかなり狭くなってしまうため、十分な余裕のある廊下がベストだと思います!
トイレは車椅子も十分に入れる寸法は?
-介助付きの場合の寸法
奥行き1515mm、幅1515mm
:トイレの介助をする人も動けるように必要な幅です。最低でも500mm以上は余裕を持っておきましょう。
-側方アプローチ
奥行き1820mm、幅1820mm
:車椅子の利用者が、介助者無しで用を済ます方法の1つです。
便器の側面に車椅子を止め、手すりなどを利用して便器に移る側方アプローチは、車椅子利用者がもっともよく使う方法とされています。
側方アプローチでは、車椅子が便器の正面まで通れるように、奥行きも幅も十分に余裕を持たせる必要があるため上記の幅を推奨しています。
-前方アプローチ
奥行き1800mm
もし側方アプローチや介助付きでのスペースを取るのが難しい場合は、前方アプローチができるように考慮した寸法を取ると良いでしょう。
前方アプローチは便器に対して車椅子を真正面に止めて移乗するスタイルです。
この方法であればスペースは最低限で済みますが、トイレ利用者が自分で扉を閉めることが難しくなってしまいます。
以上がトイレで車椅子を使う場合に必要な寸法です。
また、トイレの扉は開き戸よりも車椅子利用者が使いやすい引き戸の方が良いでしょう。
もしどうしても間取りの関係で開き戸になってしまう場合は、必ず扉は外開きにしてください。
これは、もし車椅子利用者がトイレで倒れてしまったばあい、扉が内開きだと開けられず救出できない恐れがあるからです。
車椅子が入れる玄関の寸法とは?
玄関も車椅子を考慮した下記のスペースが必要です。
- 直進するスペース
- 車椅子で方向を変えるための内輪差を考慮したスペース
- 外用と内用で車椅子を使い分ける場合は、外用の車椅子をしまうスペース
- 外用から内用の車椅子に乗り移るためのスペース
- スロープ、段差解消機等を取り付けて玄関の上り框の段差解消
以上のことを考えて設計が必要になります。
車椅子利用者が玄関で介助してもらう場合に必要な寸法は下記の通りです。
- 幅2100mm以上
- 玄関土間奥行 1200mm以上
- 玄関アプローチ奥行 1500mm以上
ドアも車椅子が通れる寸法で
部屋と部屋を隔てるドアも、車椅子利用者が通れるように余裕を持ったスペースが必要になってきます。
大体の有効寸法は850mm〜900mmくらいが望ましいです。
これ以上大きなドアだと、開口部が広くなってもドアが非常に重たくなってしまうため、車椅子利用者が自分でドアを開けるのが困難になります。
また、車椅子利用者が使いやすいように、ドアハンドルの高さは床から800〜1000mmの場所に設置すると良いでしょう^^
また、先述しましたが、基本的には引き戸が望ましいです。
もし開き戸にする場合でも、車椅子が通れるように考えてスペースを開けなければなりません。
開き戸にしても引き戸にしても、フラッターレールを使ったり上吊りの扉を採用したりことで段差なく車椅子を利用できます。
バリアフリーな家は住んだ後も維持することが大事
車椅子利用者とともに生活、もしくは自分自身が車椅子利用者になったら、家の中は車椅子の動作の邪魔になるような物はなるべく置かないようにしましょう。
廊下が広かったりするとなんだか物寂しい感じもして観葉植物などを置きたくなってしまうかもしれませんが、車椅子が通りづらくなります。
車椅子によって必要な幅なので、快適に過ごすためにも必要な幅はきちんと確保しましょう。
ここまでは車椅子に合わせてリフォームした家のあらゆる場所の幅についてご紹介いたしましたが、現在の日本では廊下の有効寸法もほとんどが780mmで車椅子利用者には不自由な通路幅です。
なかなか車椅子のための設計にはなっていないことがほとんどです。
近年では、そのような家で生活する車椅子利用者のために、6輪車椅子も開発されています。
6輪車椅子は、一般的な4輪車椅子よりも小回りが効くので日本家屋の廊下でも通りやすい仕様になっています。
家に合わせた車椅子もあるので、リフォームが難しかったり新築計画でバリアフリー使用が難しいば場合には利用する手もあるでしょう。
ただ、実際には車椅子にも様々な種類があります。
また車椅子利用者や介助者が車椅子を操作する技術も人それぞれ異なります。
そのため、これまでご紹介した標準的な有効寸法では不十分な可能性もあります。
車椅子の中には、電動車椅子やリクライニング式の車椅子もあり、それらを利用する方の場合だと上記の幅では足りません。
岡本製作所では、お施主様の要望を盛り込んだ家づくりができるよう、話し合いをしながら進めております。
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